東京に慈悲は無いと思った話(新宿編)
新宿歌舞伎町での出来事
ある夏の日、新人だった私は会社の先輩に連れられ、新宿歌舞伎町で飲んでいました。
当時の私はブラック企業まっさかり。
先輩との話題も、いつどうやって会社を辞めようか、そんな話で盛り上がりました。
そのまま終電近くなり、明日も仕事だ、そろそろ帰ろうと、外に出れば折り悪しく雨。
飲み会前は晴れていたのに、飲み会の最中から降り始めたのでしょう、皆で悪天候に舌打ちをしました。
当然、予期せぬ雨のため、傘など持っていません。
しかし、薄給激務のブラック新卒に、新しいビニール傘を買う余裕はない・・・
ビニール傘一本は、当時の私の1日の食生活ぐらいでしょうか
先輩を見送ってから私は新宿駅に向かって走り出しました。
大雨に加え、デスクワークでなまった体に全力疾走はこたえます。
そうはいっても土砂降りの中、立ち止まっているほど濡れるのも必然。
ひたすらに走り続け、歌舞伎町アーケードをくぐり、大通りを渡る。
貴金属店の横を通り、道を抜ければアルタ前。
ここまでくれば、もう一息。
だがしかし、それは油断につながる思考の隙。
ここは新宿歌舞伎町、弱みを見せたものは罠にはまるのです。
私は、ここで、歌舞伎町の恐ろしさを知ります。
アルタ前にはなんと・・・
大きな水たまりがあったのです。
いや、水たまりかよって思うでしょう?
水たまりって、めっちゃ滑るんですよ?
私はそこの水たまりで思いっきりこけました。
こけたっていうか、滑っていきました。
大きな水たまりの水をかき分けながら約3m、いやまじで。
「あー自動車教習で習ったハイドロプレーニング現象ってこれのことかなー、なんかとまらないんですけどー」とか悠長に考えながら、滑っていくと停止と同時に
蹴られました。
ノントラップでボレーシュート叩き込まれる、私。
当時の私はびっくりしすぎて、
「いや、エアホッケーじゃねえしwww」
という謎のツッコミ以外に頭をよぎりませんでした。
新宿には反射的に人を蹴る人種もいるのか。
マジ怖えな。
しかも蹴った後、何も言わねぇし、こっちを見すらしねえし。
「ボールを蹴った瞬間にゴールに入るのが手ごたえで分かったました」ってか。
カッケーなぁ、おい。
まぁ、たぶん、思いっきり濡らしたからキレてるんだと思うよ。
うん、今、人間スプラッシュマウンテンしてたから、すごい濡らしたんだと思うよ、きっと。
私は見れてないけど。
それは非常に申し訳ないと思うよ。
たださ、
思いっきり滑って、右半身血だらけだから、ちょっとぐらい気遣ってほしかったなぁ。
お母さん、東京の人は優しく無いって本当だったよ。
東京に慈悲は無い。