有休消化"率"・・・”率”だよ?数字のマジックに騙されない
みなさん、こんばんは
意識低い系転職エージェントのジエイ高田です。
たまには本職に関するお話。
転職エージェントをしていると、たまーに、「えっ?」っていう質問がくることがあります。
たとえば、
求職者「この会社の福利厚生について聞きたいんですけどー」
ボク「はいはい、例えばどんなことが気なりますか?」
求職者「福利厚生で、有休休暇ってありますか?」
ボク「え?」
求職者「え?」
ちなみに、念のため説明しておくと、
「有給休暇は福利厚生じゃねーからぁぁぁっ!」
労働者の権利なので、会社に雇用されている労働者である限りは、一定の日数は必ず付与されます。
さて、ここからが本題
有休休暇がらみで多い質問がこちらです。
「この会社の有休消化率ってどれぐらいなんですか?」
うん、まぁ、確かに気になるのはわかる。
どれぐらいお休みができるのかっていうのが気になるのは当然。
ただ、転職エージェントから言わせると、
「率はあくまで率なので、あてにしない方がいいと思います」と思うし、実際そのようにお伝えしています。
なぜ、そう言えるのかを、これからご説明します。
<目次>
- そもそも、有休消化率ってどうやって出してるの?
- 有休消化率はみんなが有休をとれているかの指標ではない
- 会社が有休取得率を高く見せる術もある
- 【まとめ】有休消化率にだまされないためには
1. そもそも有休紹介率ってどうやって出してるの?
どうやって出してるのかがわからなければ、正しい認識をとることもできません。
まずは計算方法のご案内です。
厚労省の調査で用いられているのは
1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除く)÷ そのうち労働者が取得した日数。
ちなみに、昨年度の取得率は下記、厚労省のサイトから確認できます。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/15/dl/gaiyou01.pdf
端的にいうと、会社全体で1年間に付与した有休のうち、どれぐらいをちゃんと使えているの?って話です。
なんだ思ってたとおりじゃん?って思ったでしょう?
ここからがミソなんです。
2. 有給休暇はみんなが有休をとれているかの指標ではない
いったんわかりやすいように、超小規模、総員5名の会社を会社をイメージしてみてください。
あなたは、新人として下記会社にはいることになりました。
そこはすごく小さな中小企業でしたが、転職エージェントからは、アットホームな雰囲気で、有休消化率も高く70%ぐらいと聞いていたため、あなたはワークライフバランスを重視した働き方ができるに違いない・・・そう思っていました。
そう、会社の内情を見るまでは・・・
・社員構成
社長
営業先輩A(勤続10年)・・・有休20日
営業先輩B(勤続4年)・・・有休14日
事務職のお姉さん(勤続20年)・・・有休20日
ボク(新人)・・・半年語に10日
ボク「この会社って有休消化率高いって聞きました」
社長「そうだよ、お姉さんなんか、毎年海外旅行にいったりして全部使ってるよ!」
ボク「すごいや!僕も社会人になってからまとまったお休みがとれてないから楽しみだな!」
※今年付与された有休54日のうち、20日を消化
有休消化率37%
ボク「そういえば、A先輩はお休みですか?」
社長「A君は昨日飲み過ぎたから休むっていって有休をとってるね」
ボク「そうなんですね・・・、そんなに簡単に有休が取れるなんてすごいや!」
社長「A君にも困ったものだね。彼も有休は毎年使いきってるね」
ボク「すごい!二人も全部使いきっている・・・」
※有休休暇54日中、40日を消化
有休消化率74%
ボク「あれ、Bさんはどうして、あんなに鬼気迫った顔をして仕事をしているのですか?」
社長「お姉さんもA君も休んでしまったからねぇ。彼がその穴埋めで全部仕事をしてくれているんだよ。」
ボク「すごい、なんて仕事のできる人なんだ」
社長「そうだろう、彼は頼りになるんだ。彼はほとんど有休をとらずに働いてくれてるよ」
※有休消化率74%
ボク「すごい、ほんとに有休消化率が70%以上だ!」
社長「そうだろうそうだろう。お、どうしたB君?」
B先輩「社長もう我慢できません!他の人の仕事の肩代わりばっかりでこりごりです。今日限りで辞めさせていただきます!たまった有休は全部消化しますので!!」
※有休54日中、54日取得
有休消化率100%
ボク「しゅごい・・・、有休消化率100%の会社に僕は入ったんだ!僕もしっかりお休みとれるといいな!」
~翌年~
新人「この会社は有休消化率84%(54/64日)でお休みが多いってエージェントがいってt・・・」
???「他の人の肩代わりばっかりで全然休めないじゃないですか?もう辞めます!」
新人「!?」
おわかりいただけましたでしょうか?
上記はあくまで極端な例です。
もちろん、社員数が増えればもっと信頼性のあるデータにになりますし、ここまで偏ることないと思います。
ただ、忘れてはいけないこととしては、
①有給休暇は勤続年数が長くなればなるほど、付与日数が増える
②付与日数が多い人がお休みを取れば取るほど、有休消化率も高くなる
つまり、有休消化率は、あくまで有給休暇がどれぐらい使われているかの数値であって、全員がまんべんなく有給休暇を取得できているか、の指標ではないのです。
長くなってしまったので、続きは次回に。